Moped Deregistration
原付の廃車手続きを自分でやる——必要なもの・郵送・税金の止め方
原付を手放す、乗るのをやめる、盗まれた。どの場合も市区町村役場での「廃車申告」で処理します。手数料は無料の自治体がほとんどで、窓口の実作業は15分から30分です。郵送でできる自治体も多くあります。
窓口は市区町村役場の税務課(運輸支局ではありません)。持ち物はナンバープレート・標識交付証明書・本人確認書類。手数料は無料の自治体がほとんど。もらう廃車申告受付書は捨てないでください。そして3月31日までに済ませないと、その年度の軽自動車税が1年分まるごとかかります(還付なし)。
原付の廃車はどこでやるのか
原付(125cc以下)の手続きは、市区町村役場です。運輸支局(陸運局)ではありません。ここを間違えて陸運局へ行ってしまう人が毎年います。
担当課の名前は自治体ごとにばらばらで、税務課・市民税課・課税課などです。電話で聞くときは「原付のナンバーの手続きはどちらの課ですか」と聞けば通じます。軽自動車税の担当課であることがほとんどです。
なぜ役場なのか
原付は、そもそも道路運送車両法の「自動車」ではありません。同法第2条第2項が「自動車」を「次項に規定する原動機付自転車以外のもの」と定義しているためです。だから運輸支局の登録制度の外にいます。
では誰が管理しているのか——市区町村です。原付は地方税法の軽自動車税(種別割)の課税対象で、市区町村が条例で標識(ナンバープレート)を交付しています。原付のナンバーは「登録」ではなく「課税のための標識」なのです。ご当地ナンバーが自治体ごとに違うのは、これが理由です。
原則としてバイクを置いている場所(主たる定置場)の市区町村です。地方税法第443条第1項が「軽自動車税は、軽自動車等に対し、主たる定置場所在の市町村において、その所有者に課する」と定めています。住民票の住所とふつうは一致しますが、単身赴任などで実際に置いている場所が違うときは、置いている場所が基準です。
原付の窓口にはナンバープレートの在庫がある必要があるためです。行く前に「原付の廃車と登録はこちらでできますか」と電話で確かめてください。
持っていくもの
| 持ち物 | 備考 |
|---|---|
| ナンバープレート(標識) | 返納します。外して持参してください |
| 標識交付証明書 | 紛失していても多くの自治体で受け付けます |
| 本人確認書類 | 運転免許証・マイナンバーカードなど |
| 印鑑 | 認印。不要な自治体も多い |
| 軽自動車税(種別割)廃車申告書 | 窓口にあります。事前記入は不要 |
プラスドライバー1本で外れることがほとんどですが、ボルトが錆びていると回りません。当日、役場の駐車場でボルトが折れて詰む人がいます。前日に潤滑剤を吹いて、外せることを確かめておいてください。ネジ山をなめると、そこで作業が止まります。
プレートを外すときに配線を引っ張ると断線します。廃車ならその後乗らないので実害は小さいですが、売却する場合は買い手に迷惑がかかります。
代理人でも手続きできます。家族なら委任状不要の自治体が多く、第三者の場合は委任状を求められることがあります。事前に確認してください。
当日の流れ
標識番号・車台番号・原動機の型式・氏名・住所を書きます。標識交付証明書を見ながら写せば済みます
所要時間は15分から30分。混んでいなければ、書いてすぐ出て終わりです。手数料は無料の自治体がほとんどです。
標識交付証明書を紛失している場合は、車体から直接読みます。多いのはハンドル下のフレーム(ステアリングヘッドパイプ)、エンジン下のフレーム、シート下や右側フレームのプレートです。汚れていると読めないのでウエスで拭いてください。鉛筆で紙に擦り取っておくと窓口で確認しやすくなります。スマートフォンで撮っておくのも有効です。
郵送でできる自治体が多くあります
原付の廃車申告は、郵送に対応している自治体が多いです。引っ越し先から旧住所の市役所に送る、というケースが典型です。
送るもの(一般的な例)
- 廃車申告書——自治体サイトからダウンロードして記入
- ナンバープレート——返納するので同封します
- 標識交付証明書のコピー(または原本)
- 本人確認書類のコピー
- 返信用封筒(切手を貼る)——廃車申告受付書を返してもらうため
ナンバープレートは金属で角があるので、厚紙で挟んでください。レターパックプラスを使う人が多いです。破れて中身が出ると、そのまま紛失扱いになります。
必ず事前に自治体のサイトで様式と宛先を確認してください。「原付 廃車 郵送 ○○市」で検索すると、様式をPDFで置いている自治体が多くあります。郵送を受け付けていない自治体もあります。
盗まれた・行方不明のとき
盗難の場合
先に警察へ被害届を出してください。そのうえで市区町村の窓口に行き、次を申告します。
- 盗難届の受理番号
- 届出年月日
- 届け出た警察署名
ナンバープレートは当然返せませんが、盗難であることを申告すれば受け付けてもらえます。
「どこかに置いたまま行方不明」の場合
多くの自治体は「紛失」として廃車申告を受け付けます。申立書(理由書)を書かされることがあります。「いつごろ・どこで・どういう状況で無くしたか」を書く程度です。
どちらの場合も、手続きをしない限り毎年4月に納税通知書が届き続けます。「乗っていないから」は通用しません。課税されるのは所有の事実に対してです。
また、ナンバープレートが第三者に悪用される恐れもあります。道路運送車両法第98条第3項は「番号標は、当該自動車以外の自動車に使用してはならない」と定めていますが、拾った人が付けて走っても、通知が来るのはあなたのところです。
税金はいつ止まるのか——3月31日が勝負
軽自動車税の賦課期日は、四月一日とする。
4月1日時点で持っている人に、その年度の1年分がまるごと課されます。日割りも月割りもありません。
そして——軽自動車税には、還付の規定がありません。地方税法の軽自動車税の条文(第442条〜第463条)を通して見ても、月割課税や還付の条文は1つもありません。四輪の自動車税(種別割)には月割還付がありますが、軽自動車税には無いのです。
3月31日までに廃車申告 → その年度の軽自動車税はかからない
4月2日に廃車申告 → その年度の1年分をまるごと払う(1円も戻らない)
原付の標準税率は、地方税法第448条第1項第1号でこう決まっています。
| 区分 | 標準税率(年額) |
|---|---|
| 50cc以下、または定格出力0.6kW以下 | 2,000円 |
| 二輪で50cc超90cc以下 | 2,000円 |
| 二輪で125cc以下かつ最高出力4.0kW以下(新基準原付) | 2,000円 |
| 二輪で90cc超(上の行に当たるものを除く) | 2,400円 |
| 三輪以上(ミニカー)で20cc超または0.25kW超 | 3,700円 |
金額としては2,000円前後です。しかし3月末の窓口はいちばん混みます。待ち時間を考えると、3月中旬までに動くのが実務的な答えです。
地方税法第448条第2項により、市町村は標準税率の1.5倍を超えない範囲で独自の税率を定められます。実際の金額はお住まいの市区町村の条例によります。
廃車申告受付書は必ず保管
廃車申告で受け取る廃車申告受付書(自治体により「軽自動車税廃車申告受付書」など名称が違います)は、次の3つの場面で必要になります。
- 人に譲るとき——譲り受けた人が新しい市区町村でナンバーを取るために必須です(第8章)
- また乗るとき——同じ車体でナンバーを取り直すときに使います(第9章)
- 自賠責を解約するとき——廃車を証明する書面として保険会社に出します
加えて、課税がきちんと止まったことの証拠にもなります。翌年に誤って納税通知書が来た場合、これを見せれば話が早く済みます。
自賠責保険に期間が残っていれば、解約して残期間に応じた返戻金を受け取れます。保険会社(代理店・共済)に、自賠責保険証明書・廃車申告受付書・印鑑・本人確認書類・振込先がわかるものを持っていってください。⚠ 返戻金は「解約を申し出た日」が基準で、廃車した日ではありません。1か月放置するとその1か月分が消えます。詳しくは バイクの自賠責 へ。
人に譲る場合は「廃車+登録」になります
原付には「名義変更」という手続きがありません。人に譲る場合も、この廃車申告から始まります。
「相手がやってくれるだろう」と任せると、翌年の4月にあなたに納税通知書が届きます。廃車申告が出ていなければ、市区町村の帳簿ではあなたが所有者のままだからです。廃車申告受付書は、自分で持っていても意味がありません。相手に渡してください。
廃車後にまた乗りたくなったら
廃車申告受付書を持って、市区町村の窓口で標識交付申請をすれば、新しいナンバーが交付されます。同じ番号には戻りません。
ナンバーを返した状態で走ると、無登録走行になります。自宅から窓口まで運ぶ場合は、軽トラックや自転車用のキャリアで運ぶか、市区町村で仮ナンバー(臨時運行許可)を取ってください。
なお、自賠責を解約してしまっていると入り直しが必要です。しばらく乗らないだけなら、自賠責は解約せずに残しておいたほうが手間もお金も少なく済むことがあります(残り期間と再加入の保険料を比べてください)。
よくある質問
126cc以上なら バイクの廃車【完全版】。人に譲るなら 名義変更。自賠責の返戻は バイクの自賠責。税の全体像は 軽自動車税 へ。