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バイクの廃車手続きを自分でやる——3つの「廃車」を区別する
ひとことで「廃車」と言っても、バイクでは区分ごとに手続きの名前も意味も違います。しかも同じ区分の中でも「一時的にやめる」のか「壊して終わりにする」のかで分かれます。まずそこを整理してから、必要な手続きに進んでください。
原付は市区町村で廃車申告、軽二輪は軽自動車届出済証の返納、小型二輪は自動車検査証の返納。バイクにリサイクル券は無く、自動車重量税も軽自動車税も1円も還ってきません。戻るのは自賠責の返戻金だけです。そして3月31日までに済ませないと、翌年度の税が丸ごとかかります。
「廃車」には3つの意味があります
バイクを手放すとき、みんな「廃車にする」と言います。しかし区分によって手続きの名前も意味も違います。まず全体像です。
| 区分・場面 | 手続きの名前 | もらえる書面 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 原付 | 廃車申告 | 廃車申告受付書 | 各市町村条例 |
| 軽二輪 | 軽自動車届出済証の返納 | 軽自動車届出済証返納証明書 | 施行規則第63条の6 |
| 小型二輪(乗るのをやめる) | 自動車検査証の返納 | 自動車検査証返納証明書 | 法第69条第4項 |
| 軽二輪・小型二輪(解体・用途廃止) | 解体等の届出 | — | 法第69条の2第1項 |
四輪でおなじみのこの2語は、どちらも「登録」という制度の中の手続きです。道路運送車両法第4条が二輪の小型自動車と軽自動車を登録の対象から外しているので、バイクには存在しません。窓口で「一時抹消をお願いします」と言うと、話が通じないことがあります。
またいつか乗るかもしれない場合
乗るのをやめるだけで、車体は残す——四輪でいう一時抹消に相当する場面です。
車両番号の指定を受けた検査対象軽自動車又は二輪の小型自動車の使用者は、当該自動車を運行の用に供することをやめたときは、当該自動車検査証を国土交通大臣に返納して自動車検査証返納証明書の交付を受けることができる。
「できる」と書いてあります。義務ではありません。ただし返納しなければ軽自動車税は課され続けます。乗らないなら返納してください。
検査対象外軽自動車の使用者は、次の各号のいずれかに該当するときは、遅滞なく、当該軽自動車届出済証を運輸監理部長又は運輸支局長に返納しなければならない。……二 検査対象外軽自動車の使用を廃止したとき。
3 ……軽自動車届出済証の返納があつたときは、申請により、当該軽自動車届出済証を返納した者に対し、軽自動車届出済証返納証明書を交付するものとする。
軽二輪の「返納」は「しなければならない」=義務です。小型二輪の「できる」とは書きぶりが違います。
黙っていると出してもらえないことがあります。「返納証明書もください」と必ず言ってください。これが無いと、あとで同じ車体でナンバーを取り直すときに、諸元の記載からやり直しになります。
壊して終わりにする場合
解体した、スクラップにした、用途を廃止した——この場合は届出が義務で、しかも刑事罰があります。
検査対象軽自動車又は二輪の小型自動車……の所有者は、当該自動車について前条第一項第一号又は第二号に掲げる事由があつたときは、その事由があつた日……から十五日以内に、……その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
「前条第1項第1号・第2号の事由」とは、滅失・解体・用途廃止、および車台が指定の際のものでなくなったときです。さらに法第69条第1項により、同じ15日以内に自動車検査証を返納しなければなりません。
解体等の届出を怠ると法第110条第3号により30万円以下の罰金——刑事罰です。検査証の返納を怠った場合は法第112条により30万円以下の過料——こちらは行政上の秩序罰で、前科にはなりません。どちらも15日以内であることに変わりはありません。
車体が残っているのに解体の届出をすると、その車体は二度と登録できなくなります。将来また乗る可能性が少しでもあるなら、返納だけにとどめてください。
原付の廃車
市区町村役場の税務課(市民税課・課税課など、自治体で名称が違います)で行います。手放すとき、乗るのをやめるとき、盗まれたとき——原付はすべて「廃車申告」で処理します。
持っていくもの
- ナンバープレート(標識)——返納します
- 標識交付証明書——紛失していても多くの自治体で可
- 本人確認書類/印鑑(認印。不要な自治体も多い)
もらうのは廃車申告受付書です。捨てないでください。次にナンバーを取り直すときに必要になり、税の課税が止まったことの証拠にもなります。手数料は無料の自治体がほとんどです。
引っ越し先から旧住所の市役所に送る、というケースが典型です。廃車申告書(自治体サイトからダウンロード)、ナンバープレート、標識交付証明書のコピー、本人確認書類のコピー、返信用封筒を送ります。ナンバープレートは厚紙で挟んで封筒が破れないようにしてください。レターパックプラスを使う人が多いです。必ず事前に自治体のサイトで様式と宛先を確認してください。
盗まれた・行方不明のとき
盗難なら先に警察へ被害届を出し、受理番号・届出年月日・届出先の警察署名を控えて窓口に申告します。「どこかに置いたまま行方不明」の場合も、多くの自治体は紛失として受け付けます(申立書を書かされることがあります)。放置すると毎年4月に納税通知書が届き続けます。
軽二輪の廃車
運輸支局で、軽自動車届出済証を返納します。
| 持ち物 | 備考 |
|---|---|
| 軽自動車届出済証 | 原本 |
| ナンバープレート | 返納します |
| 印鑑 | 認印 |
| 返納届(申請書) | 窓口にある。軽二輪第5号様式 |
| 軽自動車税(種別割)申告書 | 支局内の税窓口 |
もらうのは軽自動車届出済証返納証明書(規則第63条の6第3項)です。申請しないと出ません。手数料は無料です。
将来また同じ車体でナンバーを取るとき、返納証明書があって諸元に変更がなければ「軽二輪第1号様式」の届出書だけで再度届出ができます(規則第63条の10第1項第2号)。無いと諸元の記載からやり直しです。
小型二輪の廃車
こちらも運輸支局です。自動車検査証(ICカード)とナンバープレート、印鑑、申請書・手数料納付書を持っていきます。
もらうのは自動車検査証返納証明書(法第69条第4項)。これが四輪の「一時抹消登録証明書」に相当し、再びナンバーを取るときに必須です。
返納ではなく預かりです。施行規則第63条の9第1項がこの扱いを定めています。
解体した場合は、返納だけでは終わりません。15日以内に法第69条の2第1項の届出も必要です(第3章)。実務上は窓口で「解体しました」と伝えれば、申請書の「事由」欄に解体である旨を書いてまとめて処理してくれます。
還ってくるお金・還ってこないお金
ここが四輪と大きく違うところです。四輪の感覚でいると、肩透かしを食います。
| 税・保険 | 還付 | 理由 |
|---|---|---|
| 軽自動車税(種別割) | なし | 地方税法の軽自動車税に月割・還付の規定が無い |
| 自動車重量税 | なし | 自動車リサイクル法の「使用済自動車」に二輪が含まれない |
| 自賠責保険料 | あり | 保険会社に解約を申し出れば残期間に応じて返戻 |
| 任意保険 | あり | 保険会社の規定による |
バイクにリサイクル券がない理由
この法律において「自動車」とは、道路運送車両法……第二条第二項に規定する自動車(次に掲げるものを除く。)をいう。……二 道路運送車両法第三条に規定する小型自動車及び軽自動車(被けん引車を除く。)であって、二輪のもの(側車付きのものを含む。)
軽二輪も小型二輪も、自動車リサイクル法から明文で除外されています。だからリサイクル券もなければ、四輪の廃車で出てくる「解体報告記録」も出ません。
四輪では、車検が残っている車を解体すると重量税の残存分が還ってきます。しかしあの制度は「自動車リサイクル法に基づく使用済自動車の解体」を前提にしています。バイクは使用済自動車ではないので、車検が2年残っていても重量税の還付はありません。
代わりに、二輪車には二輪車リサイクルシステムという業界の自主的な仕組みがあります。指定の引取窓口に持ち込むと、多くの機種で無料で引き取ってもらえます。法律上の義務ではありませんが、処分先として使えます。
自賠責の返戻を受ける
保険会社(代理店・共済)で手続きします。自賠責保険証明書(原本)、廃車を証明する書面(自動車検査証返納証明書/軽自動車届出済証返納証明書/廃車申告受付書)、印鑑、本人確認書類、振込先がわかるものを持参します。
廃車した日ではありません。廃車の手続きが済んだら、すぐに保険会社へ行ってください。1か月放置すると、その1か月分が消えます。残りが1か月未満だとゼロになることもあります。売却・譲渡の場合は解約しないでください——自賠責は車両に付いていくもので、次の持ち主がそのまま使います。
3月31日が勝負です
軽自動車税の賦課期日は、四月一日とする。
4月1日時点で持っている人に、その年度の1年分がまるごと課されます。日割りも月割りもありません。そして——軽自動車税には、還付の規定がありません。地方税法の軽自動車税の条文(第442条〜第463条)を通して見ても、月割課税や還付の条文は1つもありません。四輪の自動車税(種別割)には月割還付がありますが、軽自動車税には無いのです。
3月31日までに廃車 → その年度の軽自動車税はかからない
4月2日に廃車 → その年度の1年分をまるごと払う(1円も戻らない)
バイクを手放すなら、3月中に廃車の手続きまで終わらせてください。「4月に入ってから」で1年分損をします。しかも3月末の窓口はいちばん混みます。3月中旬までに動くのが実務的な答えです。
売っただけで名義が動いていなければ、4月1日時点の所有者はあなたのままです。売る側は、名義変更が済んだかどうかを必ず確認してください(名義変更のやり方)。
金額は、標準税率で原付2,000〜2,400円、軽二輪3,600円、小型二輪6,000円です(地方税法第448条第1項)。市町村は標準税率の1.5倍を超えない範囲で独自の税率を定められるので、実額はお住まいの条例によります。軽自動車税の詳しい話はこちら。
廃車後にまた乗りたくなったら
- 原付:廃車申告受付書を持って市区町村の窓口で標識交付申請をすれば、新しいナンバーが交付されます。同じ番号には戻りません。
- 軽二輪:軽自動車届出済証返納証明書があり、諸元に変更がなければ「軽二輪第1号様式」の届出書だけで再度届出ができます(規則第63条の10第1項第2号)。
- 小型二輪:自動車検査証返納証明書を持って新規検査を受けます(法第59条第1項)。車検を通してから車両番号の指定を受ける流れです。
ナンバーを返した状態で走ると無登録走行になります。自宅から窓口まで運ぶには、積載して運ぶか、市区町村で仮ナンバー(臨時運行許可)を取ってください。