バイク手続き実務ガイド 原付・軽二輪・小型二輪の名義変更と廃車

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原付・軽二輪・小型二輪の違い——自分のバイクの区分を判定する

バイクの手続きで最初にやるのは、自分のバイクがどの区分かを確定させることです。ここが決まらないと、窓口も持ち物も期限も決まりません。手元の書類1枚で判定できます。

まず結論

標識交付証明書を持っていれば原付、軽自動車届出済証なら軽二輪、自動車検査証(ICカード)なら小型二輪。窓口は原付だけ市区町村役場で、126cc以上は運輸支局車検があるのは250cc超だけ車庫証明は3区分とも不要です。

01

結論——3区分の早見表

原付軽二輪小型二輪
排気量〜125cc126〜250cc250cc超
法律上の呼び名原動機付自転車二輪の軽自動車
(検査対象外軽自動車)
二輪の小型自動車
窓口市区町村役場運輸支局運輸支局
中心になる書面標識交付証明書軽自動車届出済証自動車検査証(ICカード)
名義変更の手続き名廃車申告+標識交付申請軽自動車届出済証記入申請自動車検査証の変更記録
廃車の手続き名廃車申告届出済証の返納検査証の返納
期限条例による15日以内15日以内
車検なしなしあり(初回3年・以後2年)
車庫証明不要不要不要
実印・印鑑証明不要不要不要
軽自動車税(標準税率)2,000/2,400円3,600円6,000円
高速道路走行不可走行可走行可
二人乗り不可可(条件あり)可(条件あり)
250ccちょうどは軽二輪です

法律上の区切りは「総排気量0.250リットル以下」なので、250.0ccは軽二輪。ただしメーカーの実際の排気量は248ccや249ccであることが多く、書類にもその数字が入ります。迷ったら書類を見てください。

02

手元の書類で判定する

いちばん確実なのは、手元の書面の名前を見ることです。

1
標識交付証明書がある → 原付(125cc以下)
市区町村が発行するA5〜A4の紙。標識番号・車名・車台番号・総排気量・所有者などが載っています
2
軽自動車届出済証がある → 軽二輪(126〜250cc)
運輸支局が交付するA5程度の書面。「軽自動車検査証」ではありません
3
自動車検査証(ICカード)がある → 小型二輪(250cc超)
2023年1月からICカード型(電子車検証)。車体には検査標章(車検ステッカー)が貼ってあります

書類の名前と、総排気量欄の数字。この2つが一致していれば確定です。

「軽自動車届出済証」と「軽自動車検査証」は別物です

四輪の軽自動車が持っているのが軽自動車検査証(車検あり・窓口は軽自動車検査協会)、バイクの軽二輪が持っているのが軽自動車届出済証(車検なし・窓口は運輸支局)。名前が似ているせいで、窓口を間違える人が多いところです。

軽二輪は届出済証を車載する義務があります

道路運送車両法施行規則第63条の3が「検査対象外軽自動車を運行の用に供する者は、……軽自動車届出済証……を当該検査対象外軽自動車に備え付けなければならない」と定めています。紙のままだと濡れるので、ビニール袋やシートバッグに入れておいてください。小型二輪も検査証と検査標章の備付け・表示が義務です(法第66条第1項・違反は50万円以下の罰金)。

03

車体から判定する

書類を紛失している場合は、車体から読みます。

ナンバープレートの色と形

区分プレートの特徴
原付一種(〜50cc)白地(自治体により形状・デザインが自由)
原付二種(〜90cc)黄色地
原付二種(〜125cc)桃色地
軽二輪(126〜250cc)白地・角が1か所斜めにカットされた形
小型二輪(250cc超)白地・緑の縁取り(自家用)

あくまで目安です。原付のプレートはご当地ナンバーで形も色も自由になっている自治体があります。最終的な判定は書類か車体の刻印で行ってください。

車台番号と総排気量の刻印

車台番号は次のあたりにあります。

  • ハンドル下のフレーム(ステアリングヘッドパイプ)——スクーターや多くのネイキッドはここ
  • エンジン下のフレーム
  • シート下、または右側フレームのプレート

汚れていると読めないのでウエスで拭いてください。鉛筆で紙に擦り取ると窓口で確認しやすくなります。⚠ ワイヤーブラシで削るのは厳禁です。読めなくなると職権打刻の手続きが必要になります。

車台番号を自分で打ち直さないでください

道路運送車両法第98条の偽造・変造にあたる可能性があり、刑事事件になります。読めない場合は運輸支局で職権打刻の手続きがあります。

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なぜ区分で手続きが変わるのか

「排気量で窓口が変わる」と言われても腑に落ちないかもしれません。理由は、バイクが3つの別々の枠に振り分けられているからです。

① 原付は、そもそも「自動車」ではありません

道路運送車両法 第2条

2 この法律で「自動車」とは、原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの……であつて、次項に規定する原動機付自転車以外のものをいう。
3 この法律で「原動機付自転車」とは、国土交通省令で定める総排気量又は定格出力を有する原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具……をいう。

第2項が「原動機付自転車以外のもの」と言っているので、原付は「自動車」の定義から外れています。だから運輸支局は登場せず、地方税法の軽自動車税を課す市区町村が標識を交付しています。

② 軽二輪と小型二輪は「自動車」ですが、「登録」の対象ではありません

道路運送車両法 第4条(登録の一般的効力)

自動車(軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車を除く。……)は、自動車登録ファイルに登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない。

四輪でおなじみの「移転登録」「変更登録」「抹消登録」は、すべてこの「登録」の枠の中の手続きです。条文が軽自動車(軽二輪を含む)と二輪の小型自動車を明文で除外しているので、バイクにはこれらが存在しません。

③ 分かれ目は「車検があるかどうか」

  • 小型二輪(250cc超)には車検があります。だから自動車検査証があり、名義や住所はそこに記録されています。手続きは「自動車検査証の変更記録」(法第67条第1項)。
  • 軽二輪(126〜250cc)には車検がありません。法第58条第1項が「検査対象外軽自動車」を検査の義務から外しているためです。代わりに運輸支局に届け出て車両番号の指定を受ける仕組み(法第97条の3第1項)で、手続きは「軽自動車届出済証記入申請」。
まとめると

原付=車両法の「自動車」ですらない → 市区町村の課税標識の世界
軽二輪=「自動車」だが登録も車検もない → 届出(軽自動車届出済証)の世界
小型二輪=「自動車」だが登録はない。車検はある → 車検証の変更記録の世界

3つとも、四輪の「登録」とはまったく別の系統です。四輪の名義変更をやったことがある人ほど、ここで混乱します。

05

原付の中もさらに分かれます(税額)

原付は手続きの窓口としては1つですが、税額の区分は複数あります。地方税法第448条第1項第1号の標準税率です。

原付の区分標準税率(年額)
総排気量50cc以下、または定格出力0.6kW以下2,000円
二輪で50cc超90cc以下、または0.6kW超0.8kW以下2,000円
二輪で125cc以下かつ最高出力4.0kW以下2,000円
二輪で90cc超(上の行に当たるものを除く)2,400円
三輪以上(ミニカー)で20cc超または0.25kW超3,700円

太字の行が、いわゆる新基準原付です。排気量が125cc以下でも、最高出力が4.0kW以下に制御されているものは、税額の上では原付一種と同じ2,000円になります。手続きの窓口は市区町村で変わりませんが、納税通知書の金額が周りと違うときは、この区分を疑ってください。

軽二輪・小型二輪の標準税率も同じ条文にあります(軽二輪3,600円/小型二輪6,000円)。

標準税率は「標準」です

地方税法第448条第2項により、市町村は標準税率の1.5倍を超えない範囲で独自の税率を定められます。実額はお住まいの条例によります。詳しくは バイクの軽自動車税 へ。

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期限と罰則の違い

区分名義変更・住所変更の期限根拠罰則
原付市区町村の条例による(多くは15日以内)各市町村条例条例による
軽二輪15日以内施行規則第63条の5第1項直接の罰則規定は無い
小型二輪15日以内法第67条第1項30万円以下の罰金(法第110条第1号)

軽二輪だけは少し様子が違います。15日以内という期限は施行規則第63条の5第1項が定めていますが、この規則違反そのものを罰する条文は置かれていません。罰則があるのは、そもそも届出をせずに車両番号の指定を受けないまま走った場合(法第97条の3第1項違反=法第110条第1号・30万円以下の罰金)と、車両番号標を表示しないで走った場合(法第73条第1項違反=法第109条第1号・50万円以下の罰金)です。

罰則が無くても実害はあります

名義がそのままだと、翌年度の軽自動車税の納税通知書は前の所有者に届き続けます。税金は罰則の有無とは無関係に発生します。

なお廃車の場面では、解体等の届出を怠ると法第110条第3号の30万円以下の罰金(刑事罰)、検査証の返納を怠ると法第112条の30万円以下の過料(行政上の秩序罰)で、重さが違います。

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四輪との用語の対応

四輪(普通車)の用語バイクでの対応
移転登録(名義変更)軽二輪:軽自動車届出済証記入申請/小型二輪:自動車検査証の変更記録/原付:廃車申告+標識交付申請
変更登録(住所・氏名)同上(同じ手続きで処理します)
一時抹消登録軽二輪:届出済証の返納/小型二輪:検査証の返納
一時抹消登録証明書軽自動車届出済証返納証明書/自動車検査証返納証明書
永久抹消登録解体等の届出(法第69条の2)
車庫証明なし(保管場所法第2条第1号で除外)
実印・印鑑証明書不要(認印)
リサイクル券なし(自動車リサイクル法第2条第1項第2号で除外)
重量税の還付なし(使用済自動車に当たらないため)
封印なし(法第11条は登録自動車の規定)
OSS(オンライン申請)非対応
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ボアアップして排気量が変わった場合

ボアアップすると区分そのものが変わることがあります。

  • 50cc → 52cc:原付一種から原付二種へ(税額2,000円→2,400円)。窓口は市区町村のまま
  • 125cc → 130cc:原付から軽二輪へ。窓口が市区町村から運輸支局に移ります
  • 250cc → 260cc:軽二輪から小型二輪へ。車検が必要になります
書類上の排気量と実際が違うまま名義変更しようとすると、そこで止まります

先に排気量変更の手続きを済ませてください。区分をまたぐ場合は、旧区分での廃車(返納)→新区分での登録(届出・検査)という流れになります。改造の内容によっては構造等変更検査が必要です。

また、区分が変わると免許・高速道路・二人乗り・保険もすべて変わります。125ccを超えれば原付免許では乗れませんし、任意保険のファミリーバイク特約も対象外になります。

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よくある間違い

Q. 軽二輪だから軽自動車検査協会でいいですよね?
A. 違います。運輸支局です。軽自動車検査協会は四輪の軽自動車の窓口です。「軽」の字に引っぱられる、いちばん多い間違いです。
Q. 250ccのバイクは車検がありますよね?
A. ありません。車検があるのは250cc超です。250ccちょうどは軽二輪で車検なし。「250ccクラス」という言い方は法律上の区分とずれます。
Q. 大型なら車庫証明が要りますよね?
A. 要りません。排気量にかかわらず不要です。保管場所法第2条第1号が二輪を明文で除外しています(原付はそもそも入口の外)。詳しくはこちら
Q. バイクの名義変更は移転登録ですよね?
A. 違います。バイクに移転登録は存在しません。法第4条が登録の対象から外しているためです。窓口で「移転登録をお願いします」と言うと話が通じないことがあります。
Q. 実印と印鑑証明書が要ると言われました。
A. それは四輪の話と混同されています。バイクは3区分とも認印で足ります。
区分が決まったら

名義変更は バイクの名義変更(原付は こちら)、廃車は バイクの廃車(原付は こちら)、引っ越しは 住所変更、250cc超の車検は ユーザー車検 へ。