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原付の名義変更のやり方——「廃車申告+標識交付申請」の2段構え
原付の名義変更は、旧ナンバーを一度返して新しいナンバーを取り直す形になります。手数料は無料の自治体がほとんどで、実印も印鑑証明書も車庫証明も要りません。ただし2つの窓口を通るので、順番と書類の受け渡しだけ気をつけてください。
原付に「名義変更」という手続きはありません。① 旧所有者の市区町村で廃車申告→廃車申告受付書をもらう ② 新所有者の市区町村で標識交付申請→新しいナンバー。市区町村をまたぐとナンバーは必ず変わります。実印・印鑑証明書・車庫証明はいずれも不要です。
原付の名義変更は2段構えです
四輪やバイク(126cc以上)には「名義変更」にあたる手続きがありますが、原付にはありません。あるのは次の2つです。
ナンバープレートを返納し、廃車申告受付書をもらいます
受付書と譲渡証明書を出して、新しいナンバーと標識交付証明書をもらいます
旧ナンバーを一度返して、新しいナンバーを取り直す。これが原付の名義変更の実体です。だから、市区町村をまたぐ場合、ナンバーは必ず変わります。四輪のように「名義だけ変えてナンバーはそのまま」ということはできません。
なぜこうなるのか
原付のナンバーは「登録」ではなく、市区町村が軽自動車税のために交付している標識だからです。道路運送車両法第2条第2項が原付を「自動車」の定義から外しているので、運輸支局の登録制度の外にいます。
課税するのは主たる定置場のある市区町村(地方税法第443条第1項)なので、置く場所が別の市区町村に移れば、課税する自治体が変わります。だから標識も取り直しになる——理屈としてはそういうことです。
実印・印鑑証明書——要りません(認印で足ります)。車庫証明——要りません。保管場所法第2条第1号の入口にそもそも立っていません。リサイクル券——バイクにはありません。
ステップ① 旧所有者の市区町村で廃車申告
| 持ち物 | 備考 |
|---|---|
| ナンバープレート(標識) | 返納します。前日に外せることを確かめておく |
| 標識交付証明書 | 紛失していても多くの自治体で可 |
| 本人確認書類 | 運転免許証など |
| 印鑑 | 認印。不要な自治体も多い |
もらうのは廃車申告受付書です。手数料は無料の自治体がほとんど、所要時間は15〜30分。詳しい手順は 原付の廃車手続き にまとめてあります。
「相手がやってくれるだろう」と任せると、翌年の4月にあなたに納税通知書が届きます。軽自動車税は4月1日時点の所有者に課され(地方税法第449条)、廃車申告が出ていなければ市区町村の帳簿ではあなたが所有者のままだからです。
廃車申告受付書は、自分で持っていても意味がありません。標識交付証明書と譲渡証明書と一緒に、クリアファイルに入れて相手に渡してください。
遠方に引っ越したあとでも、旧住所の市役所に郵送で廃車申告できる自治体が多くあります。「原付 廃車 郵送 ○○市」で検索してみてください。
ステップ② 新所有者の市区町村で標識交付申請
| 持ち物 | 備考 |
|---|---|
| 廃車申告受付書 | ステップ①でもらったもの。これが起点です |
| 譲渡証明書 | 自治体様式のことも多い(書き方) |
| 本人確認書類 | 運転免許証など |
| 印鑑 | 認印。不要な自治体も多い |
| 軽自動車税(種別割)申告(報告)書 | 窓口にあります |
もらうのは新しいナンバープレートと新しい標識交付証明書です。その場で交付されます。所要時間は15〜30分程度。
バイクのナンバーには封印がありません(封印を定めた道路運送車両法第11条は「登録自動車」の規定で、原付は対象外)。窓口で受け取ってその場で付けて帰れます。プラスドライバーを持っていってください。
原付の譲渡証明書は法律ではなく市区町村の運用です(道路運送車両法第33条の交付義務は「自動車」に対するもので、原付は含まれません)。だから様式が自治体ごとに違います。新所有者の市区町村のサイトにある様式をダウンロードして、旧所有者に書いてもらうのがいちばん確実です。
同じ市区町村の中で譲る場合
自治体によって扱いが違います。大きく2通りあります。
- ①②を同時に受け付けて、番号を引き継ぐ——ナンバーはそのまま。プレートを外す必要もありません
- ①②を通常どおり行い、番号が変わる——プレートを返して新しいものをもらいます
どちらになるかは、電話で1回確認すれば分かります。「同じ市内で原付を譲るのですが、ナンバーは変わりますか」と聞いてください。番号が引き継げるなら、プレートを外す手間が省けます。
2人分の書類が1回で揃うので、譲渡証明書のやり取りも要りません。窓口で「原付を譲るので、廃車と登録を一緒にお願いします」と伝えてください。
費用と期限
費用
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 廃車申告(ステップ①) | 無料(多くの自治体) |
| 標識交付申請(ステップ②) | 無料〜数百円(ナンバープレート代) |
| 合計 | 0円〜数百円 |
代行を頼むと1万円前後です。実費がほぼゼロなので、その差がまるごと代行料ということになります。
期限
原付の期限は市区町村の条例によります。多くは「15日以内」または「遅滞なく」と定めています。全国一律の期限規定はありません。
軽自動車税は4月1日時点の所有者に1年分がまるごと課されます(地方税法第449条)。しかも還付の規定がありません。3月に譲渡したのに手続きが4月にずれ込むと、旧所有者にその年度の1年分が課されます。年度をまたぐ譲渡は、3月中に②まで終わらせてください。
販売店から買った場合
販売店から新車・中古車を買った場合は、廃車申告受付書の代わりに販売証明書が使われます。
- 新車——販売証明書(メーカーの車両番号標交付証明などが付くこともあります)
- 中古車——販売証明書、または前の所有者の廃車申告受付書+譲渡証明書
いずれも店が用意するものです。受け取ってから窓口に行ってください。
車台番号の写し間違いは、販売店側でも起こります。窓口で気付くと、店に戻って書き直してもらうことになります。標識交付証明書(または販売証明書)の車台番号と、車体の刻印を、その場で照合しておくのが確実です。「0(ゼロ)」と「O(オー)」、「1(イチ)」と「I(アイ)」の取り違えが定番です。
前の持ち主が廃車申告をしてくれないとき
中古で買ったのに売り主が廃車申告をしてくれない——これは実際によくあります。
多くの自治体では、廃車申告受付書がなくても、譲渡証明書と現物のナンバープレートがあれば受け付けます。
- 旧・新の市区町村が同じ——窓口の中で処理してくれます
- 市区町村をまたぐ——新しい市区町村の窓口で「旧市の廃車申告受付書がありません」と伝えてください。旧市に照会して確認する運用をしている自治体が多くあります
郵送で廃車申告を受け付けている自治体が多いので、「郵送でできますよ」と伝えてあげるとスムーズです。売り主にとっても、放置すると自分に納税通知書が来るので、動く理由があります。
譲渡証明書そのものが無い場合
これが本当の壁です。譲渡証明書は前の持ち主にしか書けません。売買契約書・オークションの取引記録・振込記録などで譲渡の事実を示して窓口に相談する、という道はありますが、確実ではありません。
「譲渡証明書を書いてもらえますか」——これだけで、このトラブルはほぼ防げます。個人売買では、現金と引き換えに書類一式(標識交付証明書・廃車申告受付書・譲渡証明書・自賠責保険証明書)を受け取る。この順番を崩さないでください。詳しくは 書類やナンバーが無いとき へ。
ナンバーが変わったらやること
① 自賠責保険(必須)
自動車損害賠償保障法第20条第1号は、標識の番号を契約上の「危険に関する重要な事項」と定めています。原付の名義変更ではナンバーが必ず変わるので、保険会社(代理店・共済)で変更の記入を受けてください。同法第7条第2項の義務です。手数料はかかりません。
自賠責は車両に付いてくる保険です。売り主が残り期間ごと譲るのが普通で、解約されると買い主が入り直すことになります。受け取り忘れると、無保険で走ることになりかねません(自賠責法第5条・第8条)。
② 任意保険
番号が変わったら保険会社に連絡してください。事故のときに「証券の番号と実車の番号が違う」となると面倒です。
③ 駐輪場の登録
月極や集合住宅の駐輪場は番号で管理していることが多いので、届け出てください。忘れると撤去対象になることがあります。
よくある質問
手放すだけなら 原付の廃車。引っ越しなら 住所変更。譲渡証明書の書き方は こちら。126cc以上は バイクの名義変更【完全版】 へ。