Compulsory Insurance
バイクの自賠責保険——名義変更・解約返戻・車検との関係
自賠責は原付を含むすべてのバイクに義務です。そして名義変更・廃車・車検のどの場面にも顔を出します。窓口で「自賠責証明書を見せてください」と言われるのは慣習ではなく法律の要求です。
原付にも義務(自賠責法第2条第1項が原動機付自転車を明記)。証明書の車載も義務(同法第8条)。名義変更したら保険会社で変更の記入を受ける義務があり(同法第7条第2項)、ナンバーが変わったら必ず連絡(同法第20条第1号の「重要な事項」)。🔴 車検は25か月契約にして切らさないのが定番です。
原付にも義務です
この法律で「自動車」とは、道路運送車両法……第二条第二項に規定する自動車(農耕作業の用に供することを目的として製作した小型特殊自動車を除く。)及び同条第三項に規定する原動機付自転車をいう。
ここが面白いところです。わざわざ原動機付自転車を書き足しています。道路運送車両法では「自動車」から外れている原付が、自賠責法では「自動車」に含まれるのです。
自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険……の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。
したがって50ccの原付にも自賠責は必須です。無保険で走れば、罰則(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)と免許停止の対象になります。
原付には車検がないので、期限を知らせてくれる仕組みがありません。車検のある250cc超と違って、自分で管理するしかありません。証明書の期限をスマートフォンのカレンダーに入れておいてください。
証明書は車載してください
自動車は、自動車損害賠償責任保険証明書……を備え付けなければ、運行の用に供してはならない。
原付でも義務です。シート下やメットインに入れておいてください。紙なので、ビニール袋やジップロックに入れると濡れません。
道路運送車両法第66条第1項により、自動車検査証の備付けと検査標章(車検ステッカー)の表示も必要です。違反は同法第109条第9号の50万円以下の罰金。バイクは書類の置き場所に困りますが、車載してください。
名義変更したら「異動」の手続きを
保険契約者は、当該自動車損害賠償責任保険証明書の記載事項について変更があつたときは、自動車損害賠償責任保険証明書にその変更についての記入を受けなければならない。
これは義務です。「面倒だから次の更新のときに」というわけにはいきません。
どこでやるか
契約している保険会社(代理店・共済)です。運輸支局や市区町村ではできません。名義変更の窓口とは別なので、忘れやすいところです。
持っていくもの
- 自賠責保険証明書(原本)
- 新しい名義がわかるもの(新しい標識交付証明書・軽自動車届出済証・自動車検査証)
- 印鑑・本人確認書類
手数料はかかりません。その場で証明書に記入してもらえます。
ナンバーが変わったら必ず連絡を
保険法第四条に規定する重要な事項は、責任保険の契約にあつては、次のとおりとする。
一 道路運送車両法の規定による自動車登録番号若しくは車両番号、地方税法……に規定する標識の番号……(これらが存しない場合にあつては、車台番号)
二 政令で定める自動車の種別
ナンバーは、契約上の「重要な事項」です。変わったのに知らせないままだと、告知義務の問題になりえます。同法第21条には告知義務違反による契約解除の規定もあります。
原付の名義変更は「廃車申告+標識交付申請」なので、市区町村をまたげばナンバーは必ず変わります(原付の名義変更)。手続きが終わったその足で保険の窓口へ行ってください。
軽二輪・小型二輪も、支局をまたぐ引っ越しや名義変更ではナンバーが変わります。
窓口で提示を求められるのは法律の要求です
道路運送車両法第四条、……第六十七条第一項(使用者の変更に係る部分に限る。)、……又は第九十七条の三……に規定する処分を受けようとする者は、当該行政庁に対して、自動車損害賠償責任保険証明書をも提示しなければならない。
名指しされている条文を見てください。
- 第97条の3=軽二輪の使用の届出
- 第67条第1項(使用者の変更)=小型二輪の変更記録
- 第62条第2項=継続検査(車検)
バイクの主要な手続きが、そのまま並んでいます。窓口で自賠責証明書を出すよう言われるのは、担当者の裁量ではなく法律の要求です。
手続きの前に、証明書の期限を必ず確認してください。切れていたら、先に加入し直してから窓口へ行くことになります。
車検のときは「切れ目なく」
道路運送車両法第58条第1項が「有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ運行の用に供してはならない」と定め、自賠責法第5条が「責任保険の契約が締結されているものでなければ運行の用に供してはならない」と定めています。車検証の有効期間が、自賠責の期間からはみ出してはいけないわけです。
だから実務では、車検の期間(2年=24か月)を丸ごとカバーするように24か月または25か月の自賠責に加入します。
| 契約期間 | 考え方 |
|---|---|
| 24か月 | ぴったり。1日でもずれると足りなくなる |
| 25か月 | 1か月の余裕。定番。差額はわずか |
- どこで入るか:バイク用品店、保険代理店、運輸支局の近くの代理店、一部のコンビニ
- 持つもの:今の自賠責証明書、車検証
- ⚠ 古い証明書も車検当日に持っていきます(新旧2枚を提出)
運輸支局の敷地内や周辺に代理店があることが多いので当日その場でも入れますが、混んでいると時間を食います。前日までに済ませておくのが安全です(ユーザー車検)。
250cc超で24か月なら9,000円前後、原付・軽二輪はこれより安くなります。⚠ 保険料は定期的に改定されます。加入時に確認してください。
廃車したら解約して返戻を受ける
バイクの廃車で戻ってくるお金は、実質的に自賠責の返戻金だけです。
| 税・保険 | 還付 | 理由 |
|---|---|---|
| 軽自動車税 | なし | 地方税法に月割・還付の規定が無い |
| 自動車重量税 | なし | リサイクル法の「使用済自動車」に二輪が含まれない |
| 自賠責保険料 | あり | 解約を申し出れば残期間に応じて返戻 |
持っていくもの
- 自賠責保険証明書(原本)
- 廃車を証明する書面——自動車検査証返納証明書/軽自動車届出済証返納証明書/廃車申告受付書
- 印鑑・本人確認書類・振込先がわかるもの
廃車した日ではありません。廃車の手続きが済んだら、すぐに保険会社へ行ってください。1か月放置すると、その1か月分が消えます。残りが1か月未満だと、返戻金がゼロになることもあります。
売る・譲るときは解約しないでください
自賠責は車両に付いてくる保険です。名義変更で残りの期間が消えるわけではありません。売り主が3年契約で加入していて2年残っていれば、その2年は買い主がそのまま使えます。
- 買う側——書類一式と一緒に自賠責保険証明書を必ず受け取ってください。受け取り忘れると、有効な自賠責が無い状態になり、名義変更の窓口でも止まります
- 売る側——解約して返戻金をもらうのはおすすめしません。買い主が入り直す手間とお金がかかり、名義変更の窓口で話がこじれます
現金と引き換えに、書類一式(届出済証/検査証・譲渡証明書・自賠責保険証明書)を受け取る。この順番を崩さないでください。あとから「送ります」は、送られてこないことがあります。
証明書をなくしたとき
保険契約者は、自動車損害賠償責任保険証明書が滅失し、損傷し、又はその識別が困難となつたときは、保険会社に対して、その再交付を求めることができる。
再交付を受けられます。契約している保険会社(代理店)に連絡してください。契約者本人であることの確認ができれば発行してもらえます。
中古で買ったバイクだと、証明書が無いと保険会社もわかりません。売り主に聞くのが最短です。連絡が取れない場合は、入り直すことになります(二重加入になりますが、有効な証明書が無いと手続きが進みません)。だから受け渡しのときに必ず受け取ってください。