バイク手続き実務ガイド 原付・軽二輪・小型二輪の名義変更と廃車

126cc and Over

軽二輪・小型二輪の名義変更——運輸支局での当日の動きを順に

126cc以上のバイクの名義変更は運輸支局で行います。書類がそろっていれば30分から1時間。ただし、はじめて行く人は「どの建物のどの窓口か」で迷います。着いてから帰るまでを順に追いかけます。

まず結論

軽二輪(126〜250cc)は「軽自動車届出済証記入申請」、小型二輪(250cc超)は「自動車検査証の変更記録」。どちらも15日以内認印でOK手数料はほぼ無料。🔴 同じ支局の管内ならナンバーは変わらず、現車を持っていく必要もありません。最後に税の申告窓口へ寄るのを忘れずに。

01

まず、現車を持っていくかどうかを決める

これが当日の段取りをいちばん左右します。

ケースナンバー現車所要
同じ運輸支局の管内で名義だけ変わる変わらない不要(書類だけ)30分〜1時間
支局をまたぐ(管轄が変わる)変わる必要1時間〜1時間半
判定はナンバーの地名で

旧所有者の使用の本拠と、新所有者の使用の本拠が同じ地名のナンバー圏内なら、支局は同じです。「品川」から「練馬」に変わるなら管轄が変わっています。ナンバーの地名が変わらないなら、書類だけ持っていけば済みます。

自走で行っていいのか

名義変更前でも、旧ナンバーと有効な自賠責があれば公道は走れます。問題ありません。ただし小型二輪で車検が切れている場合は走れないので、積載するか、市区町村で仮ナンバー(臨時運行許可)を取ってください。

02

持ち物を最終確認する

持ち物軽二輪小型二輪
手元の書面(原本)軽自動車届出済証自動車検査証(ICカード)
譲渡証明書必要必要
新所有者の住所を証明する書面住民票(3か月以内)など同左
印鑑認印認印
自賠責保険証明書有効なもの有効なもの
ナンバープレート+現車支局をまたぐ場合のみ同左
工具(+ドライバー・10mmレンチ)ナンバー交換時同左
自賠責証明書の提示は法定の義務です

窓口で求められるのは慣習ではありません。自動車損害賠償保障法第9条第1項が、道路運送車両法第97条の3(軽二輪の届出)と第67条第1項(使用者の変更に係る部分)の処分を受けようとする者に、証明書の提示を義務づけています。有効期間が切れていると通りません。行く前に期限を確認してください。

実印・印鑑証明書・車庫証明はいずれも不要

四輪の移転登録と混同されやすい点です。バイクは道路運送車両法第4条で登録の対象から外れているため、所有権の対抗要件にまつわる厳格さが持ち込まれません(理由の説明)。

03

運輸支局に着いてからの順路

1
駐車する
現車を持ち込む場合は、二輪の待機場所を案内されることがあります
2
用紙をもらう・買う
窓口またはOCR用紙販売所。「軽二輪の名義変更です」「250cc超の名義変更です」と言えば必要な用紙を出してくれます
3
記入する
記入例が掲示されています。書類を横に置いて写します
4
二輪の窓口に提出
🔴 軽二輪と小型二輪で窓口が違う支局があります。案内図か職員に確認してください
5
新しい書面を受け取る
軽自動車届出済証/自動車検査証
6
ナンバーが変わる場合:旧プレート返納 → 新プレート交付 → 取り付け
7
🔴 税の申告窓口へ寄る(第7章)
迷ったら「二輪の窓口はどこですか」

運輸支局は建物が複数に分かれていることが多く、四輪の登録棟と二輪の窓口が離れている支局もあります。入口の案内所で聞くのがいちばん早いです。「はじめてです」と言えば順路を教えてくれます。

04

軽二輪の申請書(軽二輪第1〜5号様式)

軽二輪の様式は施行規則第63条の10で決まっていて、番号が振られています。窓口では番号で呼ばれることがあるので、覚えておくと通じやすくなります。

場面様式
使用の届出(新規にナンバーを取る)軽二輪第1号様式+第2号様式
返納証明書があり、諸元に変更がない再届出軽二輪第1号様式のみ
届出済証の記入申請(名義変更・住所変更記入申請書
記入申請(諸元に変更がある場合)軽二輪第2号様式
届出済証の返納(廃車)軽二輪第5号様式

名義変更は「記入申請書」です。法律上の呼び名は「軽自動車届出済証の記入」(規則第63条の5第1項)。窓口では「名義変更をしたいのですが」で通じます。

手数料は無料で、かかるのは用紙代とナンバープレート代(500〜600円程度)だけです。四輪の移転登録には登録手数料700円がかかりますが、軽二輪の届出には「登録手数料」という考え方そのものがありません。

05

小型二輪の申請書と手数料

250cc超の名義変更は、法律上は「自動車検査証の変更記録」(法第67条第1項)です。ところが窓口の申請書は「自動車検査証記入申請書」という名前で置かれていることが多く、法律上の呼び名と窓口の呼び名が違います。用紙を探すときに迷うところです。

  • 自動車検査証記入申請書(OCRシート)
  • 手数料納付書——印紙を貼る場合があります

手数料は無料〜数百円程度です。窓口の掲示で確認してください。

電子車検証の書き換え

2023年1月からのICカード型では、窓口でICチップの情報を書き換える処理が入ります。券面のシールが貼り替えられることもあります。旧来の紙の車検証を持っている場合は、この機会にICカードに切り替わります。

電子車検証は券面に有効期間や住所が印刷されていません。確認するには専用アプリかカードリーダーが必要です。折り曲げるとチップが割れるので、財布の後ろポケットに入れないでください。

車検も近いなら、順番が決まっています

法第62条第5項が「継続検査を申請しようとする場合において……変更記録の申請をすべき事由があるときは、あらかじめ、その申請をしなければならない」と定めています。先に変更記録、あとで継続検査。同じ日に両方やるなら、窓口で最初にそう伝えてください(ユーザー車検)。

06

ナンバープレートを交換する

支局をまたぐ場合は、その場でプレートを付け替えます。

封印が無いので自分でできます

四輪の普通車は後ろのナンバーに封印が付いていて、自分では外せません(法第11条)。軽二輪・小型二輪には封印がありません。法第11条は「登録自動車」の規定で、バイクは登録の対象外だからです。

  • 必要な工具:プラスドライバー(+2番)、10mmのレンチかスパナ
  • 所要時間:5〜10分
  • ボルトが錆びていると回りません。前日に潤滑剤を吹いておいてください
  • ナンバー灯の配線を引っ張らないこと。断線すると整備不良になります。付け替えたあとに点灯を確認してください

支局でドライバーを貸してくれることも多いですが、自分の工具を持っていくほうが確実です。

表示のルール

軽二輪のプレートは後面だけに表示します(施行規則第63条の8が四輪の規定を「前面及び後面」→「後面」と読み替え)。表示義務の根拠は法第73条第1項(法第97条の3第2項で準用)で、違反は法第109条第1号により50万円以下の罰金です。

角度・カバー・フレームに注意

条文が求めているのは「被覆しないことその他当該車両番号の識別に支障が生じないものとして国土交通省令で定める方法」での表示です。大きく上向きに角度を付ける、スモークカバーで覆う、フレームで縁を隠す——これらはここから外れる可能性があります。

07

税の申告窓口を飛ばさない

🔴 ここが当日いちばん抜けます

運輸支局の中(または隣接)に、軽自動車税(種別割)の申告窓口があります。名義や住所が変わったら、ここで申告書を出してください。

運輸支局で書面を直しただけでは、税の側は自動では動きません。飛ばすと、翌年度の納税通知書が前の所有者・前の住所に届きます。

そして小型二輪の場合、滞納があると——

道路運送車両法 第97条の2第3項

国土交通大臣は、第一項の書面の提示又は前項の納付の事実の確認がないときは、自動車検査証の返付をしないものとする

「返付をしない」=次の車検が通らないということです。2年後に気づくと、滞納分の納付から納税証明の反映まで1〜2週間かかり、車検の予定が崩れます。

建物を出る前に、「税の窓口はどこですか」と一言聞いてください。これだけで防げます。

08

行く時間帯を選ぶ

  • 🔴 昼休み(おおむね11:45〜13:00)は窓口が閉まります。午前に行くなら11時まで、午後は13時以降に着くように
  • 受付は16時ごろに終了する支局が多いです
  • 月末・年度末(3月)・連休明けは混みます。3月下旬の運輸支局は待ち時間が2時間を超えることも珍しくありません
  • 土日祝・年末年始は閉庁です
いちばん空いているのは

月の中旬・週の半ば・午後イチ(13時すぎ)です。急がないならここを狙ってください。

年度をまたぐ譲渡は3月中に

軽自動車税は4月1日時点の所有者に1年分がまるごと課され、還付がありません(地方税法第449条)。3月に譲ったのに手続きが4月にずれると、旧所有者にその年度の1年分が課されます。混雑を見越して3月中旬までに動いてください。

09

区分別・細かい違いの一覧

軽二輪(126〜250cc)小型二輪(250cc超)
法律上の呼び名二輪の軽自動車/検査対象外軽自動車二輪の小型自動車
手続きの名前軽自動車届出済証の記入自動車検査証の変更記録
根拠施行規則第63条の5第1項法第67条第1項
期限15日以内15日以内
期限違反の罰則直接の規定なし30万円以下の罰金(法第110条第1号)
手元の書面軽自動車届出済証(紙)自動車検査証(ICカード)
書面の車載義務あり(規則第63条の3)あり(法第66条第1項・違反は50万円以下)
車検なしあり(初回3年・以後2年)
プレートの表示後面のみ(規則第63条の8)後面
重量税届出時に1回のみ4,900円車検ごと(2年で3,800円)
軽自動車税(標準税率)3,600円6,000円
10

よくある質問

Q. 軽自動車検査協会に行けばいいですか?
A. 違います。運輸支局です。軽自動車検査協会は四輪の軽自動車の窓口です。「軽」の字に引っぱられる、いちばん多い間違いです。
Q. 委任状は要りますか?
A. 原則不要です。四輪では代理申請に委任状が必須ですが、バイクの届出・変更記録は委任状なしで受け付ける支局が多くあります。ただし支局によっては求められるので、第三者に頼むなら念のため用意してください(書式はこちら)。
Q. 所有者は親のまま、使用者だけ自分にできますか?
A. できます。同じ変更記録・記入申請の手続きです。譲渡ではないので譲渡証明書は不要で、代わりに所有者の委任状が要ります。
Q. 車検が切れていても名義変更できますか?
A. できます。ただし公道を走れないので、現車の持ち込みが必要なとき(ナンバーが変わるとき)は積載するか仮ナンバーを取ってください。
Q. オンラインでできますか?
A. できません。OSS(ワンストップサービス)は「登録」の仕組みに乗った制度で、登録の対象外であるバイクは対象外です。
Q. 手数料はいくらですか?
A. ほぼ無料です。用紙代と、ナンバーが変わる場合のプレート代(500〜600円程度)だけ。住民票の300円を入れても千円台で収まります。
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